ツキ板の染色で広がる表現の可能性

ツキ板は、木目調シートとは違い、貼り方や塗装方法を工夫することでさまざまな表情を楽しむことができます。今回ご紹介する「瓦町FLAG」では、市松模様や斜め貼りを採用し、ツキ板ならではの色の変化と美しい木目を引き出しています。
ツキ板の魅力
本物の木であるツキ板には天然の導管があり、光の当たり方や角度によって色や木目が変わります。この特性は、印刷された木目調シートでは表現できない大きな魅力です。また、同じ樹種でも異なるロット(丸太)を使うことで、微妙な色の違いやランダムな木目が生まれ、より自然な仕上がりとなります。


ワイピング(染色)塗装の特徴
瓦町FLAGでは、ツキ板の色ムラや木目の変化を生かすために、ワイピング(染色)塗装仕上げを行いました。 ワイピング塗装とは下記のような手順で行われます。
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全体に塗料を塗布
ツキ板全体に塗料をしっかり塗り込み、木の導管に染み込ませます。 -
ウエスで拭き取り
塗料が完全に乾く前にウエスで余分な塗料を拭き取り、木目の個性を残します。 -
吹き付け塗装で調整
乾燥後、全体に再度吹き付けることで、色の調整と保護を行い、自然な風合いを守ります。
このような手順を踏むことでツキ板本来の導管による色の違いとランダムな木目がしっかりと表現されています。
斜め貼りと和紙貼りの技術
瓦町FLAGでは、パネルサイズより大きな和紙にツキ板を貼り、シート状に加工した後に斜めにカットし、縦横に貼り合わせる方法を採用しました。ツキ板同士の接合部分にはV字溝加工が施されており、貼り合わせ時のズレが目立たないよう細心の注意を払っています。

カラーバランスと自然な色ムラ
各フロアごとに異なる色合いを実現するため、事前に色見本を提出し、決定したパレットに合わせて施工しました。パネル全体のカラーバランスとナチュラルな色ムラを大切にしながら、自然で落ち着いた仕上がりを目指しています。

木目を生かす染色技術
大事なのは「染色できる」ではなく、木目を活かして塗装する技術です。オークやウォールナットなど、色の乗りやすい樹種を選ぶことで、ツキ板本来の温かみある色合いと美しい木目をしっかりと表現しています。
もしツキ板の使用をご検討中であれば、本記事を参考に「本物の木」ならではの表現力をぜひ体感してみてください。